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白い空気、黒い雪
- 2008.11.25 Tuesday
- 超短編作
- 21:39
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- by 真田疾
JUGEMテーマ:小説/詩
空舞う雪は白く綺麗だが、なぜこうも道の片隅に積み上げられた雪は汚いのだろう。
それは排ガスの汚さであり、地面に溜まるほこりを取り込んで汚くなったのだと思う。
でもきっと本当は、人のため息を吸って重くなってしまったに違いない。
この社会はため息に溢れていて、どんな空気だって重さを帯びてしまう。
そんな中でそれじゃダメだと軽い空気をまとっても、少しそこから離れた途端、この社会の空気は重くなってしまう。
雪は黒く、茶色く、濁った色をしていた。
純白の雪が、なぜこんな色にならなければならないのだろう。
雪が黒くなって喜ぶ人なんか誰もいやしないのに、雪はどんどん汚さを吸収して黒ずんでいく。
誰だって明るい毎日を望んでいるのに、気づけば暗く、じめっとした感情が積もっていく。
白いものが、徐々に、徐々に、黒ずんでいく……
雪だるまと目があった。
まだできたばかりの雪だるまは白く、まんまると太っていて、とても楽しそうな顔を与えられていた。
この雪だるまも、いずれ溶けて汚く染まってしまうのだろうか。
その時、見上げた空からまた白いものが降ってきた。
こんなにも黒い雪が溜まりこんでるのに、まだ降るのか。染まり足りないのか。
でもそれが。
黒くなっても、黒くなっても。
いくらでも次に白く埋めてやるという、雪なりの頑張りなのかもしれなかった。
そしてやがて、黒い雪が見えなくなった頃には。
アスファルトの片隅から緑色の生命が雪の後をついで、踏まれても踏まれても、頑張っていくのだろう。
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