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  • 2009.08.12 Wednesday
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本の精霊

JUGEMテーマ:小説/詩


本を大事にしてね、といつも私は言っている。
前のご主人様はとてもいい加減だった。
その前のご主人様は、やっぱりいい加減だった。
さらに前のご主人様は……よかったかも。
今度のご主人様はとっても大事にしてくれる。
しすぎてくれて、私が怖くなっちゃうみたい。

私は本の精霊。
古い本に宿る、弱い精霊。
本を読んで感じてもらえる、いろんな気持ちが私を作った。
私の宿る本の作者、つまり私のお父様は、もうこの世にいないけど、私はそのお父様の言葉をこの世に伝え続けている。
ほんとは、私は他の本に宿ることもできる。
本の精霊はいろんな本を宿りうつるし、大切にされるのが大好きだから、そんなご主人様を見つけるとそこにずっと居座る。
でも私は、そうしなかった。私は今宿ってる本で生まれて、その本から抜けようと思ったこともない。
私はお父様の言葉が大好きだったから。
何度か他の本の精霊と話したことあるけど、私が「お父様」と呼んでるような人はみんないないみたい。
もう忘れてしまったのかも知れないし、やっぱり最初から居なかったのかも知れない。
彼女たちはみんな、ご主人様が好きで、ご主人様と一緒に過ごして、そしてご主人様がいなくなると寂しそうに消えていったから。
私みたいに、一つの本に宿ったままな子は見たことない。すごく変わり者なんだと思う。


今日も、ご主人様は丁寧に本を扱ってくれている。
「さて、と」
ご主人様は若い。今までで一番若いかも。まだ20代のお兄さん。
でも古い本が大好きで、私の本よりもっと古い本もたくさん持っている。
もちろん、ここにいる精霊も私だけじゃない。本を大切にしてくれるご主人様の元には、たくさんの精霊が寄ってくるから。
「そろそろ手入れもしてやらないとなぁ。週末時間つくるかな」
そう、ご主人様は本の手入れに余念がない。いつもいつもしっかり手入れしてくれる。
それはとっても嬉しいのだけど、なんだか今まで大切に扱われてこなかった私には不思議だし、なんだがむずがゆい。
周りの精霊たちはそれでこそご主人様だと喜んでいるけど、私は複雑な気分だった。
あの子達はいつも、こういうご主人様と一緒にいるんだ。
いつも、ぞんざいな扱いしかされてこなかった私。
いつも、ご主人様に大切にされてきたあの子達。
本を大切にしてね、なんて言わなくてもいい。あの人は当たり前のように大切にしてくれる。

ある日、ご主人様が私の宿る本を取ってくれた。
その本には、ある男爵の生涯について書かれている。
男爵は圧政を敷きとても憎まれていた。だけど、ある日彼の子供が死に、そこから今までにない世界が広がっていく。大人なのに子供じみた、わがままな男爵が、誰よりも聡明で民を愛し、みんなに慕われる男爵に変わっていく。
それなのにある日、昔母親を亡くした青年に男爵は刺される。
……そんなお話を、ご主人様は帰ってきてから夜、何日かかけて読み進めていった。
本に宿る私には、ご主人様の温かい気持ちがわかる。
こんなにも大切にしてくれるご主人様。なのに、本を読んでる時の感情は、今までのどのご主人様より希薄だった。
私はそれが不思議でならなかった。
なんでなんですか、ご主人様。
問いかけても、ご主人様には私の声は届かない。

ご主人様が本を読み終えた。
「この本を書いた人は、何を思ってこの本を書いたのだろう」
独り言を呟くご主人様。その姿が不思議だった。
ご主人様は、本の内容が理解できなかったのだろうか。こんなに本を大切にしているご主人様なのに、私の宿る本はだめなのだろうか。
「僕には想像できない。憎まれていた人間が、そう簡単に許されるなど。そんなきれい事なんて」
私は悲しかった。
こんなにも大切にしてくれるご主人様がそんなことを言うのが悲しくて仕方なかった。
「思ったより微妙だったな。置いといても仕方ないから、やっぱり売ってしまうか」
そして、私はこのご主人様の元を離れることになった。


今度のご主人様は、やっぱりいい加減な人だった。
読んだ後、本をそのまま置いておくし、外から帰ってきて手も洗わずに本を読む。
だから本はやっぱり少し痛むけど、でも私はほっとした。
だってこのご主人様は、しっかりと本を読んでくれるし、感動してくれるから。
前のご主人様はあんなにも優しかったけど、丁寧に扱ってくれたけど、理解して貰うことが出来なかった。
私にはなによりそれが大切だった。
お父様の言葉を伝えるために、私はこの本に宿ったのだから。
少しずつ本が傷んだって、この本を好きで読んでくれる人がいい。
それを他の精霊達は変だって言うかも知れないけど、私にとってはそれが一番だからいい。
だからきっと、本がよれよれになって、私もぼろぼろに崩れても、私はずっとこの本と共にあるだろう。

昔、お父様が伝えたかった思いを伝えるために。
伝わっていくのを、ただ見守るために。

逃げていたのかも知れない

JUGEMテーマ:小説/詩


逃げていたのかも知れない。
きっと君が手を差し伸べてくれると思って
僕が知らんぷりをしていても
きっと君から来てくれると思って
なんでもないフリをして
逃げていたのかも知れない。


たくさん裏切られた。
そしてたくさん裏切った。
不信じゃないと嘘をついて
本当は誰も信じられなくて
わめくこともできなくて
殻に閉じこもることもできなくて
流されるままに逃げていたのかも知れない。


君の手を掴むのが怖かった。
僕から手を伸ばして、弾かれるのが
どうしても怖かった。
君の手に捕まれるのが怖かった。
自分が裏切ってしまいそうで
君を傷つけてしまいそうで怖かった。


怖くて怖くて逃げていたのかも知れない。
知らんぷりをして、
君から僕の心に入ってきてくれるのを
待っていたのかも知れない。
でも待ってたはずなのに、それすらも怖くなって、
距離を開けて逃げていたのかも知れない。


こんな臆病な僕が
望むことは許されるのでしょうか?

臆病亀

JUGEMテーマ:小説/詩


小さな村の、小さな井戸。
村はずれの、みんなが使わなくなった井戸。
村の真ん中の井戸と比べて、
水は汚くて、くみ取りづらくて、
普段はふたをかぶせたままほっとかれている。

そんな井戸のなかに住み着いた
一匹の小さな亀。
なんでそんなところに住み着いちゃったかは忘れたけど、
亀は満足していた。
傾いて穴もあるふたから漏れる陽の光はほどよくて、
水温はいつも心地よい温度で、
なにより怖いモノはなにもいなかった。

その亀も、長く長くそこに住んでいて、
気がついたらもういい歳。
今まで思わなかったのに、
ふと、その井戸の外に出たくなった。

湿気が多くて薄暗い井戸の側面は、コケがびっちり生えていて、
鈍重な亀には登れそうになかった。
それでも亀は登りたかった。
登って、眩しい陽の光を浴びてみたかった。
もう覚えていない、外の賑やかな世界を見たかった。

年老いた亀は決意した。
少しずつ少しずつ壁をのぼった。
滑り落ちて、水に背中をぶつけた。
頑丈な亀も、歳をとった今じゃその衝撃が響いた。
それでも、亀はよじ登った。
どうしても陽の光を浴びたかった。

執念が実を結び、何度も何度もチャレンジした挙げ句、ようやく井戸の外にでられた。
眩しい陽の光に目がくらみ、
亀は大いに喜んだ。
なんでもっと早く井戸から出ようと思わなかったのだろう。
なんでこの陽の光を忘れてしまっていたのだろう。
こんなにぽかぽかと暖かくて、嬉しくなれるのに。

その時、大きな鳴き声が聞こえた。
亀は大慌てで甲羅のなかに閉じこもった。
がくがく震えて、逃げ出したいけど動けなくて、息苦しくなった。
ああそうだ。
怖かったんだ。
怖くて甲羅に閉じこもるように、怖いモノのない、井戸の中に逃げ込んだんだ。
なんてもったいない人生だったんだろう。
なんて臆病な自分だったんだろう。

大きな鳴き声をだした生き物は、のしのしと去っていった。
年老いた亀は、もうそこから少しだって動きたくなくなった。
だけど、井戸を出た世界は広すぎて、こんな近くにずっと居るなんて勿体なかった。
年老いた亀は歩いた。
陽の光の中、歩くとめまいがした。
もう、ふらふらだ。

甲羅が重くて、重くて、
脱げるものなら脱いでしまいたくなった。
そんな風に考えるのも不思議で、
臆病だった自分はどこに消えたのだろうと思った。
年老いた亀は、ただ歩いて、歩いて、気がつけば水のあるところにいた。
それは大きな水たまりだった。
けれど、数日もしたらこの光に干されてしまうのだろう。

亀にとってはその数日だけでも十分だった。
だってもう、亀は動けなかったから。
だってもう、亀は自分の終わりを知っていたから。
最後に水に浸かって、亀は陽の光を浴びて、
ささやかな幸せを感じていた。

ああ、生まれ変わったら。
もっともっと、もっともっと
遠くまで、どこまでも、
この広い世界を行きたい。
その時は、きっと怖いものからも逃げず、
行きたいところまで、どこまでも歩いていける。

だから、亀はただ願った。
臆病でなく、どこまでも、進める自分に生まれ変わることを。
そして、亀の命は、陽の光に溶かされていった。

ただ孤独な、夜

JUGEMテーマ:小説/詩


遠くて…寂しくて。
手に入らなくて、重くて、悲しくて。
胸の上に手を置いて、ただ感情に押し流されるまま
痛みが消えず、苦しい気持ちだけは、次々と溢れるのに
なぜ泣けないんだろう。

どこにもない。
本当に欲しいものだったはずなのに、
それは心から消えてしまった
どんな形かも思い出せない
大切だったあの気持ち
ただ取り残されたように、
胸の痛みだけが熱を持つ

思わず伸ばした手は
なにもつかめない。
温かみはつかめない。
それ以上動けなくなって、
ただ震えて耐える


流れ出てくる言葉は
意味のないただの単語
なのに、
浮かぶたび胸が締め付けられる。

好き
スキ
大好き
ダイスキ
過去の誰かに宛てた、ただの言葉
行き先がないのに
次々と出てくる

口を開いても言葉はでない
息もうまくできない
ここから逃げ出したいと
身体に力を入れるのに
ちっとも言うことを聞いてくれない

ただ止まらない痛みが
自分を責め立てる
いつか終わるはずと思っても
辛くて耐えれなくなり
誰かに助けを求めたくなる

お願い
必要だと言って
欲しいと言って
隣に居て
触れさせて

ほんのちょっとでも
少しでも
救われたくて
一体誰に
それを求めているのだろう

ダメだと思っても
止められなくなる
いろんなものを持ってるはずなのに
なにもかもに届かない
そんな気持ちになって
ただ、ツライ

鳥の巣

JUGEMテーマ:小説/詩


最近、朝鳥の鳴き声がうるさい。
そう思ってるだけだったが、洗濯物を干していてふと見上げて気づいた。
なんだ、鳥の巣か。
どうやら気づかぬうちに巣作りしていたらしい。
多分、まだ雛は孵ってないのだろう。
正直朝の弱い俺からすればいい迷惑だが、かといってこれをどうにかしてしまうのも忍びない。

ということをダチと飲んでる時に言ったら、
「お前が鳥の巣壊せねぇってガラかよ! ぶははははは」
と笑われた。
全くもって傷ついた。とりあえずその時吸ってたたばこをそいつの腕に押しつけてやった。
同時に足も思いっきり踏んでやった。俺が履いてる靴はただの靴じゃない。ちょっと荒れた道でもモノともしない半登山用の根性の入った奴である。
「ほおおおおおおおおっ!!」
全く、うるさいやつだ。
「おま……骨……折れる…」
「知らん」
さて、どうしたものか


毎朝うるさいが、心優しい俺は暖かく見守っている。
起きた瞬間はこの野郎唐揚げにしてやろうかと思ったりもするが我慢だ。
卵も茹でたらきっとうまいだろうけど、それも我慢だ。
俺の家のべらんだの軒先で新たな命が生まれようとしているのに、そんな一時のイライラで摘み取ってしまうわけにはいかない。
そうだ、落ち着け俺。
深呼吸だ。
すーはー
……その時、猫が隣のベランダからよじ上がってくるのが見えた。
目線はもちろん、鳥の巣。
「くおおおおおおおらあああああああああああああああああ!!!!」
思わず馬鹿でかい声が出た。
目んたま飛び出そうなぐらい出た。
深呼吸なんぞしちまったのがいけなかったらしい。
びくっどころが、銃声でも聞いたかのように、めちゃくちゃ慌てて逃げていく猫。
ふふーん。ざまぁみろ
この俺の領地を脅かそうとするからだ。
と、足下にぽとっと音がした。
鳥の糞? いや……
音に当てられて、バランスを崩した親鳥だった。


そんなトラブルもあったものの、鳥はやはり今日も卵を温めているようだ。
雨が降ってきたので、ちょっと様子を見に行く。
……実はこいつが来てからベランダでたばこも吸ってない。
確かに俺にしては変に愛着がわいてるような気がする。
悪いか。いいだろ、別に。なにも変じゃないぞ。
誰も聞いてないのに言い訳してしまう俺。
雨の音を聞きながら、鳥の巣を眺めること数分。
ふと、雨の音に紛れて小さな音が聞こえてきた。
こつ、こつ。
俺はびびって後ずさってしまった。
おい、まさか。
こつ、こつ。
孵ろうとしてるのか?
こつ、こつ。
こんな雨の日じゃなくてもいいのに。
思わず唾を飲み込む。
よくわからんが、緊張してきた。
まさかそんな瞬間に立ち会えるとは…。
こつ、こつ。
じっと見つめる。下からじゃ巣の中は見えないけど、きっと今卵は一生懸命孵ろうとしているはずだ。
しばらくして。
雨の音にかすれるように、聞こえた。
ぴ。ぴぃ。
かすかな、雛の鳴き声。
思わず俺は部屋の中に駆けだした。
携帯電話を手に取って、すぐさま電話をかける。

「あー、もしもし。なんだ?」
「雛が生まれたんだよ!!」
「は?」
「だから、この前話してた鳥の巣の」
「あ? なんだっけ?」
「お前いっぺん死んでこい」
切った。

次。
「もしもし?」
「おー久しぶり」
実はさー、鳥の巣が軒先にできて、雛が生まれたんだよー!
という内容を熱弁してみた。
「あーそうなんだ。おめでと」
反応薄っ!!


しまった。
感動を共感できる友達が居ない。
なんて惨めな奴なんだ俺は。
なんか居ても立っても居られなくて、ピザ屋に電話した。
「はい。○△ピザです」
「えっと3番のピザ、Mサイズ。超特急で。住所は…」
「はい、わかりました。30分以内にお届けしますので、代金の用意をしてお待ちください」
ち。30分以内じゃない、超特急だよ超特急。
落ち着かないまま貧乏揺すりとかしながら15分待ったところでチャイムが鳴った。
「はい!」
「お待たせいたしました、3番のピザです。代金は……はいちょうどですね。ありがとうございました」
「ちょっと待ったああああ」
「はい?」
「実はですね!! ベランダの軒先に鳥の巣がでたんスよ!! そんでね!」
「あの、すいません。次の配達があるので……」
そういって配達員は逃げた。
使えねぇ。
ダメだ、あそこのピザ屋。もう頼まねぇ。
……まぁ、いいや。ピザ食うか。
久々に食うが、うまいな。やっぱまた頼むか。


数日後。
ぴぃぴぃぴぃぴぃうるさい。
衣つけて揚げてやろうか。若鶏の唐揚げは大好物だぞ、この野郎。
しかし、そんな卑小な自分はダメだ。我慢だ。ああでも、うまいかも知れない。
いやいや、そんなことはいい。
たまに見える雛は、小さくて可愛くておいしそ……いやいや、可愛くて和む。
全く、親鳥よりそそるから困る。
早く育つといいなぁ。巣立ちはいつだろう。


そんなこんなで見守ってたある日。
いつものようにベランダに出て
出ようとしてすぐ窓を閉めた。
落ち着け。
なにがあった俺。
なぜ閉めた。
なぜ戻った。
よし、深呼吸だ。
すーはー
すーはー
よし。
右良し、左良し。
窓開ける。
見る。
羽毛が落ちてた。
赤く汚れた、小さな羽毛が落ちてた。
血で濡れ、もう舞うことのない、小さなものが落ちていた。
俺は窓を閉めた。
目を閉じた。
どうやら俺はショックを受けてるらしい。
なんでだ?
それは……
「嘘、だろ…」
雛は殺されていた。
俺が食ったわけじゃない。何者かに殺されていた。
といっても人間じゃない。
きっと、あの猫だ。


気がつけば外に居た。
なにをどう歩いて来たかわからないが、茂みの中にいた。
そして、視線の先にはその猫が居た。
薄汚れた猫は、前のように逃げ出しもせず、怯えたような目をしつつもこちらを威嚇してた。
お前はなにをした。あの雛になにをした。
俺は一歩踏み出した。
全身の毛を逆立てて、猫が威嚇する。
俺はさらに一歩踏み出した。
猫は後ずさりもせず、怯えてるはずのに、まだ威嚇していた。
もう走ればすぐ捕まえられる距離なのに逃げ出さなかった。
にー
聞こえた。
聞きたくもない鳴き声が聞こえた。
にー、にー
その猫のうしろには、小さな子猫が3匹、隠れていた。
いや、隠れようとしているのだが、必死すぎて隠れられないのだろう。
にー、にー
3匹のうち、1匹は鳴いてなかった。動いてもなかった。
よく見ると、顔は子猫だが、身体がおかしかった。
さらにしばらく見て、それがなにか気づいた。
潰れていたんだ。
俺は、急にいたたまれなくなって、振り向いて、走った。



部屋に戻り、薄暗い室内の電気もつけず、そのまま床に寝転んだ。
なにも思い浮かばない。
真っ白だ。
唐揚げ食いたい。
違う。
猫って焼いたら食えるんだろうか。中国人ならありうるな。
違う。
なんでこんな
自然って残酷なんだろう。
いや、あの潰れた子猫は、自然というより……

……たばこ吸うか。
もう、ベランダで吸っても構わんだろう。
と思って、窓を開けて後悔した。
ああ
そのままだった……な。
埋めてやるか。

ぴ。ぴぃ。
聞こえた鳴き声に俺は全速力で逃げた。部屋の中に逃げて、突っ走って、そのままトイレに逃げ込んだ。
ついでにズボンを降ろしたところで気づく。
なにをやってるんだ俺は。
ベランダに戻る。
窓は当然開けっぱなしで、そこに転がってるのもそのままだった。
だけど、そこから目をそらして巣を見上げた。
ぴ。ぴぃぴぃ。
居る。まだ生きてる。
全部殺したわけじゃなかったのだ。
しまった、たばこを吸えない。
…違った。
喜ぶところだここは。
でも喜ぶ前に、目がうるんで、なんかまた逃げたくなった。
いや、今はやることがある。
埋めてやろう。こいつの兄弟を。


近くの公園に埋めてやった。その場でたばこを1本吸って、吸い殻を墓標代わりに立ててやった。
いつもは一応持ち帰るが、墓標の1つぐらい許されるだろう。
家に帰ったらもう疲れて、そのまま床に転がって寝てしまった。
そして、おいしそうな唐揚げの夢をみた。空飛ぶ唐揚げの。



…どんだけ食い意地張ってるんだ俺は。
起きてから自己嫌悪に一瞬入った。
あ。
慌ててベランダを開けて、見上げた。
暗い。もう夜になってたのか。
音はしない。
でも夜目に慣れてくると、親鳥が居るのがわかった。
なるほど。寝てるのか。
じゃあ寝るか。
さっきまで寝てたが知らん。
こいつが寝てるのに俺が寝てないのはおかしい。
なにせこいつにいつも起こされてるんだ。
俺はもう一度寝た。


今度は、飛び立つ雛の夢を見た。
俺も一緒に飛ぼうとして、崖から落ちた。


目が覚めて苦笑した。
こいつが巣立ちするまで、俺はきっとこんなだろうな、と思って。
外は明け方。コンビニいって、唐揚げでも買ってこよう。

走って転んで負けない

JUGEMテーマ:小説/詩


圭輔はいつも落ち着きのないやつだが、今日ばかりはいつも以上に落ち着いてなかった。
今日は待ちかねていた新作ゲームが発売日。
学校が終わったらソッコーで家までダッシュで帰って、チャリンコダッシュで店まで行って、そんでぶっ飛ばして家に帰って、寝るまでゲーム三昧と決めていた。
そんな状況はもちろんクラスメイトに伝わるわけもなく、
「けーすけー、今日ひまー?」
とか声をかけられ、
「わっりー。オレ今日むりだー」
とか答えたり。
「けーすけー、サッカーやるから来いよ」
と、いつもなら間違いなく喜んでいくところを
「あーごめん。今日は無理なんだ」
とか断ったり。
まぁそんな学校も終わり。

圭輔は起立、礼、猛ダッシュで教室を後にした。
「な、なに!?」
その圭輔の前を走る奴が居た。
いつも一人で本を読んでるメガネの淳平だ。
運動神経なんてこれっぽっちもなくて、毎日のように外で遊んでる圭輔とは対照的な少年だった。
その淳平が、自分の前を走ってる。
席は確かに淳平の方が出入り口に近かったが、それにしても意外だった。
まさかあいつに負けるわけには行かない。
圭輔はペースを上げた。ギア1段あげるぐらいわけはない。
そして並ぶと同時に、淳平の顔を見た。
淳平はすごく驚いた顔をして、いきなり
「僕の前を走るなよ!!」
とかわけのわからないことをぬかした。
思わず「え?」と聞き返してしまう。
普段は口答えなんて全然しないような、大人しいやつなのに。
だけど、淳平は必死だった。今まで見たことないぐらい必死だった。ガリで、全然体力とかないはずのやつが、超必死こいて、圭輔の前を走ろうとしていた。
そして、下駄箱についたときには、淳平は見たこともない早業で上履きを放り込み、下履きに履き替え、猛ダッシュで去っていった。
「ま、待てよ!!!」
我に返った圭輔は、焦りすぎて靴を落とし、大幅にタイムロスして下駄箱を後にした。


嘘だろ。
あんなやつに負けてたまるかよ!
あのひょろっちい淳平に本気で対抗心を燃やしていることに気づき、圭輔はなんとも奇妙な気分になった。
とにかく負けられない。
あいつもきっと、今日発売のゲームを買いに行くのだろう。
そして、家もそう遠くないはずなので、行く店も同じのはずだった。
あいつより後に買うなんてぜっったいダメだ。負けてたまるか。
走る。とにかく走る。

家に着いた。
「ただいま!!」
部屋まで走る。
母親が何事かと顔を出すが、その間に鞄を部屋に放り投げ、財布をつかんで、そしてすぐに玄関に向かう。
「ど、どうしたの?」
「ゲーム買ってくる!!!」
それだけ言い捨てて、圭輔は走った。
家を出て、自転車を見て気づく。やべぇ、自転車の鍵を忘れた。
すぐに引き返そうとして、
「__痛っ!?」
足を捻った。
加減して走らざるをえなくて、部屋まで取りに戻る。
どたどたどたという音に
「こら、圭輔!! 走るんじゃない!」
と、母親が首を掴もうとする。
もうこれ以上時間を無駄にできないんだ!
圭輔はスライディングした。これこそ、あいつなんかにはできない芸当だ、と思った。
だけど母は一段上だった。
抜けようとしたところを、足で捕まえられる。
「こら! 落ち着きなさい!」
「放してよ!!」
「じゃあ歩いて玄関まで行く。そんな慌ててると事故るから、自転車も飛ばしすぎないの。いい!?」
「わかった!! わかったから!! もう時間ないから!!」
「そんなに急がなくても逃げないわよゲームは」
違うんだ。そんな問題じゃないんだ。
悔しくて涙がでそうになった。耐える。こんなところで負けてたまるか。

今度こそ自転車にまたがり、母の見えてるうちは適度に急いで、角を曲がってからは超ウルトラ猛ダッシュで自転車を立ちこぎした。
ダメだ、これじゃダメだ!
近道を行く。狭くてでこぼこしていて、捻った足には響くけど、構ってられなかった。
淳平には負けられない。負けてたまるか。


ゲーム屋を目前にして、淳平が店の前まで来ているのを見つけた。
あっちは走っているけど、自転車じゃない。
やった! オレの勝ちだ!!
圭輔はわざと淳平の前を突っ切って、駐輪場に向かった。
淳平も、もの凄く急いで走ってきたようで、鼻水を垂らしながら、もの凄い顔で圭輔を睨んできた。
いやっほーー!!
叫びたい気分で、だけど我慢して、圭輔は自転車を降りた。
走って店の入り口に向かう。
そして、レジの横に積んである「本日発売!!」のゲームを手に取り、
レジに並んだところで後から淳平が入り口から入ってきた。
圭輔はにんまり笑いながら淳平を見た。淳平は、もはや睨むこともせず、斜め下を見ながらゲームを手に取り、自分の後に並んだ。
「お次にお待ちのお客様、どうぞ!」
圭輔は悠々と、そのレジに向かう。
「6121円になります」
そして、財布から五千円札と、千円札と、100円を出して……残りが1円玉しか無いことに気づいた。
(…え!?)
焦る。財布をひっくり返して、1円玉を並べた。
1、2、3、4……13枚。13枚しかなかった。
8円、足りない。
ちゃんと溜めておいたはずなのに。

「お次にお待ちのお客様、こちらにどうぞ」
隣のレジのおじさんが言った。
淳平が、隣に来た。
圭輔の様子を見て、驚いたような顔をして、そして、
「足りないの?」
聞いた。
圭輔は黙ったままだった。
淳平は、1万円札を店員に渡した。
圭輔は、その様子を呆然と見つめていた。
レジのお姉さんは困ったように、圭輔を見ていた。
淳平はそのパッケージを受け取っていた。
そして、おつりを受け取ると。
「いくら?」
と、圭輔を振り向いて聞いた。
圭輔は黙っていた。
「いくら足りないの?」
淳平はもう一度聞いた。
圭輔はそれでも黙っていた。
ただ見つめていた、その目から、あふれ出すものを止められなかった。
淳平は、圭輔の前をのぞき込むと、お金を数え始めた。
それに気づいた圭輔は、かすれた声でなにかをつぶやき、肩から淳平にぶつかった。
弱々しく、いつもなら考えられないほど力の入ってない、タックルだった。
そして、震えるかすれ声で
「ごめんなさい、やめます…」
とレジのお姉さんに伝えると、出したお金を掴んで、強引に財布にねじ込み、
「!!」
淳平を一度睨んで、そして走って店を出て行った。
残された淳平は、呆然とそれを見送った。


翌日、圭輔は学校に行きたくないと母親に言った。
いつもは喜んで行く圭輔がそんなことを言うことにびっくりしながらも、説得する母親。
それでも圭輔はかたくなに行くことを嫌がった。
仕方ないので、病欠と担任の先生に電話した。圭輔は、布団に入ったまま出てこなかった。
夕方、心配してきた友達が尋ねてきても、「調子が悪いって言って」と断らせた。
そして、
「西原淳平君って子が来たわよ。いいの?」
と母親が言うと、
圭輔は一瞬、固まり、次の瞬間。
布団を蹴飛ばして廊下を走っていた。

「淳平!」
玄関先に居たのは、間違いなく淳平だった。
淳平は目を逸らして、立っていた。
「なにしに来たんだよ!!」
「別に……」
淳平は目を逸らしたまま答えた。
圭輔は我慢できなくなり、淳平の胸ぐらを掴んだ。
「なんであんなこと言ったんだよ! なに勝手なことしようとしてだんだよ!!」
「圭輔!!」
母親が驚いた顔で出てきて、二人を引き離した。
「どうしたのよ、一体!?」
圭輔はまた泣きたくなった。
悔しくて悔しくて、許せなくて泣けそうだった。
「あの……」
淳平が口を開いた。
「なんだよ」
「嶋野君だって、あのゲームやりたくて走ってたんだよね。あんなに一生懸命。なのに買えないの、絶対嫌だろうからと思って、僕は……」
圭輔は睨んだ。視線で殺せるなら殺してやっても良いとさえ思った。
「お前なんかに金出して貰ってたまるかよ!!」
「なんだよ! 人がせっかく親切にしてやってるのに!!」
「うるせぇよ!!」
圭輔は拳を振り上げようとして……止めた。
「…帰れよ。明日は学校行くから、もう帰れよ」
「……」
淳平は黙って、後を向いた。
その姿を見て、圭輔は逃げ出したくなった。
違う。
悪いのはこいつじゃない。オレなんだ。
言葉にはできない、けどそう思っていた。それなのに追い返してる自分が、すごく卑怯に思えた。
涙が出そうになる。
なにか言いたかった。言わなきゃいけないと思った。
でもなにを言えばいいかわからず、必死で考える。
ただ呼び止めることはできない。でもなにか言わなきゃならなかった。
そして、思いついた。
「淳平!」
淳平は振り向いた。
「あのゲーム、面白いか!?」
淳平は驚いた顔で、固まる。
しばらく、二人は沈黙し、
「…うん、面白いよ」
ぽつり、と淳平が言った。
圭輔は身を乗り出し、叫んだ。
「じゃあ、オレ今から買ってくるから。絶対買ってきて、絶対お前より先に全クリするからな!!」
そんな圭輔の言葉に淳平は驚き、ただ口を開き、何かを言おうとしたままぽかーんとしてた。
圭輔はそんな淳平に、
「いいな! 今度こそ絶対負けないからな!!」
と宣言した。
唖然としていた淳平は、それを聞き、固まっていた頭を無理矢理動かし、
そして斜めを向いたまま言った。
「嶋野なんかに僕が負けるわけないじゃないか。やってみせろよ」
と。
圭輔は笑った。1粒だけ涙をこぼし、だけど笑った。
淳平も笑った。変な顔しつつ、だけどやっぱりへらへらと笑った。



その後、二人はでこぼこコンビとしてクラスで有名になるのだが、それはまた別の話。

波紋に揺れる青空

JUGEMテーマ:小説/詩


下を見降ろすと、そこには波紋に揺れる空があった。
私はただじっと、その青空を眺めていた。
決して見上げることなく、下だけを見つめて。
視線を外すことなく、そのまましゃがむ。
太陽の光が眩しい。
下から照らす太陽は、それでも私の心の影を照らし出してはくれなかった。

その青空を見つめながら、頭はぼーっとして、何も考えられなかった。
このまま飛び込んでしまったほうがいいのかな。
水面に映る青空は、体を引っ張るような強い誘惑があって。
気づけば近くに生い茂った草を右手が強く、握っていた。
その草の先っぽをちぎって、投げた。
ゆらり、ゆらりと落ちていく葉っぱはゆっくりと水面にぶつかった。
そして広がる波紋に、空が揺らぐ。
空の真ん中にゆらぐ葉っぱ。そしてそっからでる波紋。
とくん、とくん、と。
その波が、まるで心が鳴ってるかのように思えた。

とくん、とくん。
心のリズムを思い浮かべてるうちに、その水面の空のスクリーンの向こうに描いてはいけない顔を描いてしまっていた。
やだ…。思い出したくない。
私は努めて、空を見つめた。
胸を打つリズムが、一度は収まったのにまた早まっていた。
冷たい水を流し込まれたように心に染みわたる気持ち。締め付けられて、私はついに視線を水面に浮かぶ空から外した。
涙が溢れそうになるのを必死にこらえる。
目をつむって、顔を伏せる。
こんなはずじゃ、なかったのに……
もっと楽しく、笑って、みんなと一緒に居るはずだったのに。
ぎゅっと目に力を入れた。
我慢しても、一度さっき泣いてしまったから顔はぐちゃぐちゃになっていた。
そんな顔を誰にも見せたくないし、今は誰にも会いたくない。
一人にして欲しい。
だから、ここまで逃げ来て、ずっと湖を見つめていた。

みんな、やっぱり心配してるかな…
してるよね。
思わず走って逃げちゃったし。
もう、戻らなきゃ。
胸を打つリズムは私に厳しく叱咤する。同時に、逃げたい気持ちも強める。
ちゃんと仲直り、しないと。
いつまでも逃げてられないから。

私はようやく顔を上げた。
ちょっと西に傾いた太陽が、私を待っていてくれた。

膝を抱えていいところ

JUGEMテーマ:小説/詩


そこは昼間なのに、とても薄暗い空間だった。
顔が熱く、目から溢れる涙は止まらない。
僕はまた屋根裏で一人、泣いていた。

泣いてる理由はもう半分よくわからなくなってた。
母さんに留守番ついでにいろいろやっておくように言われてたのを、僕はゲームをしていて忘れていた。
それで帰ってからこっぴどく叱られたのだが、それがどういうわけかどんどん嫌なこと嫌なこと言われて。
気づけば怒鳴って泣いて、悔しくて、逃げてきてた。
なにかすごく腹立たしくて、悔しかったのに、その理由がぴんと来ない。
泣き出してしばらくすると、こういうことはよくある。
嫌なもんは嫌だったんだけど、僕はなにをあんなに怒鳴ったんだっけ。

そういう事を考え出す頃には、涙もとまって、息苦しかった呼吸も整ってくる。
服のそでには濡れた後があって、きっと目も赤くなってるんだろう。
僕は情けないのかな。泣き虫なんだろうな。
怒鳴ったのは多分、そういう気持ちになっただけ。
嫌なこと確かに言われたけど、それは僕も本当はわかってることだし直さなきゃいけないところだし。
けど、今はすごく顔合わせづらい。
もう少しこの埃っぽい空間に居たかった。

ここでは僕は一人になれる。
もちろん、母さんも僕がここに逃げ込んだことぐらい察しがつくはずだけど、そういう問題じゃない。
僕が、僕一人で居られる空間なんだ。今だけは。
屋根裏っていうのは意味もなくわくわくする。入ってもなにかがあるわけじゃないけど、普通じゃない場所だからこそ来てみたくなる。
そして気持ちが一杯になっちゃったときは、こうやってこの空間に来るんだ。
そうしてここで泣いてると、不思議と落ち着いて考えれる気がする。
怒ってものに当たりたくなっても、ここに来てじっとしてれば落ち着いて考えられる気がする。
そんな僕の特別な場所。
暗くて、埃っぽくて、足下も大きな梁の上しか歩けないろくでもない場所ではあるけど、それでも僕はここが好きだった。

そうして頭に浮かぶものが大体片付いた頃、僕はいつも通りはしごを伝って降りていく。
ちゃんと、母さんにあやまってこよう。

白い空気、黒い雪

JUGEMテーマ:小説/詩


空舞う雪は白く綺麗だが、なぜこうも道の片隅に積み上げられた雪は汚いのだろう。
それは排ガスの汚さであり、地面に溜まるほこりを取り込んで汚くなったのだと思う。
でもきっと本当は、人のため息を吸って重くなってしまったに違いない。
この社会はため息に溢れていて、どんな空気だって重さを帯びてしまう。
そんな中でそれじゃダメだと軽い空気をまとっても、少しそこから離れた途端、この社会の空気は重くなってしまう。

雪は黒く、茶色く、濁った色をしていた。
純白の雪が、なぜこんな色にならなければならないのだろう。
雪が黒くなって喜ぶ人なんか誰もいやしないのに、雪はどんどん汚さを吸収して黒ずんでいく。
誰だって明るい毎日を望んでいるのに、気づけば暗く、じめっとした感情が積もっていく。
白いものが、徐々に、徐々に、黒ずんでいく……


雪だるまと目があった。
まだできたばかりの雪だるまは白く、まんまると太っていて、とても楽しそうな顔を与えられていた。
この雪だるまも、いずれ溶けて汚く染まってしまうのだろうか。


その時、見上げた空からまた白いものが降ってきた。
こんなにも黒い雪が溜まりこんでるのに、まだ降るのか。染まり足りないのか。
でもそれが。
黒くなっても、黒くなっても。
いくらでも次に白く埋めてやるという、雪なりの頑張りなのかもしれなかった。

そしてやがて、黒い雪が見えなくなった頃には。
アスファルトの片隅から緑色の生命が雪の後をついで、踏まれても踏まれても、頑張っていくのだろう。

影絵の二人

JUGEMテーマ:ものがたり


夕日が照らす影は長い。
その長い影から、化け物が出てくるのではないかと思って、
僕は小さい頃夕方が嫌いだった。
伸びる影がいつしか僕たちのことを襲うのではないかと気が気でなかった。
夜の街灯でできる影はもっと怖くて、いつも誰かと手をつないで歩いていた。


そんなことを思いながら、二人並んだ影を眺めていた。
今、この影はもちろん怖くもなく、むしろ僕はこの影を眺めるのが好きだった。
その影に映し出された姿と、手の平の温もりが、心に満ちあふれた気持ちを与えてくれる。
大切なものを手にして、影が伸びる先はどこに向かうのだろう。


夕日が照らす中、僕はその影を守るように彼女を抱きしめ、そっと言葉を呟いた。

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